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Interview

小さなパン屋を夫婦で立ち上げ18年。オールハーツ・カンパニーの原点と、自分たちが進んでいく未来。

田島慎也 代表取締役社長/CEO
Posted : 2020.04.03

オールハーツ・カンパニー代表の田島です。

実はこういう風に自分の思いを社内外に発信することはほとんどなくて。もしかしたら最初の記事になるのかもしれません。僕はあまり前に出るのが得意じゃないんです。でも自分たちのメディアができて(オールハーツ・レシピ)、その最初の記事なので、改めてオールハーツのことを語るのにはいいタイミングじゃないかと。

それに会社として大きくなって、全員とじっくり話をすることは難しくなった今だからこそ、会社の原点と、これからどう僕らは進んでいこうとしているか、ということをスタッフのみなさんに知ってもらえたらと思います。

 

今期はほぼ想定どおり。
店舗以外での収益を増やしていく。

まずは足元の話からしてしていきます。現状、売上は概ね予定どおりに進んでいます。内訳の比率は、だいたいベーカリーが60%、パティスリー25%、コンビニなどへの卸が15%です。

今後、たとえば売上を10倍にスケールさせようと考えたとき、少子高齢化の流れを踏まえると店舗をたくさん持つことはリスクになっていきます。そのため店舗型のビジネスモデルの比率は下がっていくでしょう。そして店舗以外の収益を増やしていく必要があります。たとえば商品卸ですよね。

では既存の事業でのテコ入れがないかというと、もちろんやっていきます。分かりやすいところでは、ベーカリーは食パンのカテゴリーを強くしていく。これまでチョコリング、チーズフランスが主力でしたが、これは毎日食べるというより、自分へのご褒美や特別な日に買う「ハレの日」のパンでした。でも食パンは毎日食べますよね。それに今は、多少値の張る食パンでも美味しければ買うことが普通になってきた。これから「ねこねこ食パン」を中心に、全店で高級食パンを強化していくつもりです。

ねこねこ食パン(https://nekoshoku.jp/

 

あと考えていることは冷凍食品です。昔は冷凍ケーキとかって、すごく不味い印象がありましたよね。でも最近は、冷凍技術の進歩やコンビニの冷凍食品の普及もあって、抵抗感はずいぶん少なくなってきました。冷凍食品って、圧倒的に長持ちするからフードロスゼロを実現できる。

僕らが得意としているパンとかケーキの生地って、美味しく冷凍するのに高度な技術とノウハウが必要なんです。発酵プロセスがあるから。でもうちならできる。今後はこの冷凍食品のカテゴリーは増やしていきたいですね。従来のパンやケーキ以外に転用することも考えています。

ファクトリー事業部では、全部で6工場のスタッフを150%に増やして稼働時間を長くする挑戦もやっていく。こちらもフードロスゼロを目指す。あとは外商ですね。外のブランドとコラボ商品を出したり、スタッフも3倍ぐらいに増やしたりして催事を強化するつもりです。

 

僕らは創造性を高めていく。

ここまでは、今まさに進めている具体的な経営の話。ではもう少し先の、働くみなさんにも伝えたいこととしては、僕らは知的労働の時間を増やします。

僕らがいる飲食業やサービス業と呼ばれる市場は肉体労働が多くて、人が動いた時間がイコール価値になっていました。でもそれってやっぱり時間単位の生産性を劇的に上げることは難しくて。つまり平均年収を上げにくい。僕はそこを変えていきたい。

以前話題になった「サピエンス全史」という本の中で、今の我々人類の祖であるホモ・サピエンスが他の類人猿に勝てた理由として、虚構を信じることができたという点が挙げられていました。目の前にあるものではなく、存在しないものを思い描く力。これは創造性の源でもあります。

この力を最大限に発揮できる組織にしたい。単純作業は、これからどんどん機械やロボットに切り替わっていくしアウトソースしていくべきです。手を動かすだけの仕事は得意なものに任せて、僕らは新しい価値を生み出していかなければいけない。そのために必要なのは、第一に未来を正しく把握していくこと。そして訪れる次の世界に応じて自分を変革していくことでしょう。たとえば、日本の少子化という未来はもう確定しているし、その市場で戦っていく僕らは変わっていかなくてはいけない。

個人としても、新しい時代に向けて目の前の仕事だけじゃなく、その周辺業務を学ぶことが重要になっていくんじゃないでしょうか。経理がマーケティングスキルを身につけたり、パン職人が仕組み化スキルを学んだり。そうやって会社、個人が変化し続ける組織を僕らは目指していきます。

 

変化しないと死んでいく。
それはもう十分に味わった。

おそらく僕は、社内でもずっと変化、変化と言っているはずなんです。もう耳タコの社員もいるんじゃないでしょうか。でも、たぶんこれからも言い続けるんでしょうね。変化しないと生き残れないと、身に染みてわかっているから。

少し昔話をします。まだ僕自身がちいさなパン屋のパン職人だった頃の話です。

この写真のお店がアンティークの一号店。2002年。まだ僕は20歳でした。ナマイキな顔してますよね(笑)。当時は本当にお金がなくて、看板は自作なんです。扉も自分で絵を書きました。看板の電球は豆電球を埋め込んだだけだから雨が降るとショートしちゃうの。今となっては笑い話です。

高校2年生のときに、パン屋で独立することを決めて。それから専門学校、修行先のパン屋と、死に物狂いで勉強しました。パン屋で日本一は無理かもしれないけれど、今この瞬間でオレ以上にパンのことを考えている奴はいない! なんて、本気で思うほど頑張って。そして妻と二人のアルバイトで念願のお店をオープンして、最初は閑古鳥が鳴いていたけれど徐々に売上も伸びていきました。

僕が目指したのはクリエイティブな会社。世の中にないパンとか、ひと手間を加えることでワクワクするようなパンを届けようと考えていました。そんなパンを作っていくうちにチョコリングがヒットして、新作のドーナツも調子がいい。そんなわけで創業から10年間、ほぼ止まることなく売り上げが伸びていきました。30店舗、売上42億円ぐらいだったかな。でも、それが僕の職人としての限界でした。

ある時を境に、坂道を転がるように売上が落ちていって。全然止まらない。新作を出してもダメだし、工場もうまく行かないから人を増やして人海戦術だーってやってたらこれもダメ。正直、会社がつぶれると思いました。

原因は明確で、僕がまったく経営ができていなかったから。あの頃は会社の数字を見るのは年に一度ぐらいで、個別の店舗の数字も原価も大して見ていなかったんです。はっきりいえば、経営者の仕事から逃げていたんでしょうね。僕は。

当時の僕の部屋の本棚には、お菓子のレシピやデザインや建築の本がずらり。経営の本なんて一冊もなかったんです。でも、このままじゃ本当にまずいと思って、必死に勉強しました。経営の数字を見ることを覚えて、先人の経営者の本を読み漁りました。その頃から、ソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さん、京セラの稲盛さんとか大好きです。彼らは物事の本質だけを見ていて嘘がない。僕もそうありたいと思いました。

会社が傾きかけたとき、僕はまず全店舗を回りました。各店長ともじっくり話しました。まず分かったのは、人の動きが悪くなっていたこと。だから倉庫を整理整頓して、在庫を見えるようにして、探す手間を短縮しました。次に休憩室をきれいにしてスタッフが働きやすい環境に近づけていった。使わないものはどんどん捨てた。あの頃の僕は、お店を回るときにまず倉庫に行きましたね。倉庫を整えることが僕の役目だった。

2、3か月かけて全国のお店を全部回って倉庫をきれいにしたら、面白いことに業績がぐっと上がったんです。あ、これを仕組みにすればいいんだ、って思って。そこから発想中心の右脳型の会社に、仕組み化を重視する左脳型の色が混ざっていったんです。これはすごく大きな変化でしたね。年に一度のホームラン狙いじゃなく、きちっと12本のヒットを打てる会社にしていきました。

そしてもっと色んな会社の文化を学ぼうという思いになってM&Aをはじめました。ラスクの工場を買って工場で利益を出すやり方を学び、ピネードでケーキ屋の利益の出し方を学び、パステルで高度な品質管理を学ぶ……って具合で今のグループになります。すべて、変化を受け入れ、自分たちが変化した結果だと思っています。

 

オールハーツ・カンパニーは、
食とテクノロジーの会社になっていく。

ちいさな1軒のパン屋から始まってここまで来た。では会社としてこの先どこに向かうかというと、まず「世界NO.1のベーカリー・パティスリー」の会社になります。これは以前からずっと社内外に言っていることです。世界で一番、たくさんの人に、美味しいパンやスイーツを届けていく。その方針は変わっていません。

ただ、走り続けていくうちに、情報革命が起きて世の中はテクノロジーの時代になりました。完全セルフの店舗や完全に自動化された工場も、すぐ先の未来です。そして国内は人口減で市場は縮小していく。ここ数年のケーキ屋やパン屋の倒産は過去最高の水準です。

その背景を踏まえると、おそらく僕らはパンとスイーツの領域を超えて、食とテクノロジーの会社になっていくはずです。そのための下地も着実に整ってきました。美味しい冷凍が難しいパンやスイーツの製造ノウハウがあるし、大量生産できる体制もある。食の分野での経営の立て直しも知見が溜まってきました。

現状のサービス業の強みはそのまま生かしながら、テクノロジーを強化しつつ、あらゆる食の領域へ進出していく。もちろんパンとスイーツはその中心であり続けるでしょう。しかし変化し続けていく先を考えていくと、おそらくオールハーツ・カンパニーは食の総合企業となっていくはずです。

 

成長していくのは楽しい。
変化していくのは楽しい。

ここまでの話は、社内でも大っぴらに話をしていないので、ビックリする方もいるかもしれません。でも、想像するとワクワクしませんか? 会社が成長していくと、仕事も広がるし、何よりお客さまも広がっていく。個人としても新しいスキルが身についていくはず。自分の成長は楽しいものです。

僕にとってのモチベーションのひとつは、世の中に、より価値のあるものを提案すること。美味しいパンをつくる、美味しいスイーツをつくる、そしてその先にある食の領域を開拓していく。もっともっと先には、食と密接に関係する健康の領域だって進んでみたい。どうせやるなら、世界にとって特別な会社にしたい。

みなさんにとっての、仕事のやりがいはなんでしょうか。どう変化していきたいですか。動き続けていく市場と、変わり続けるオールハーツ・カンパニーの中で、ぜひ一人ひとりが考えてほしいと思います。

2020年は、僕にとっても、たぶん会社にとっても大きな変化がある年です。どうせなら、一緒に楽しんでいきましょう。

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